軽自動車の安全性は本当に低い?おすすめの車種の比較や選ぶポイントを紹介
軽自動車の安全性は近年の技術の進歩によって向上しているため、普通自動車と比較して極端に低いわけではありません。この記事では、軽自動車が安全といえる理由やおすすめの車種、選ぶ際のポイントをご紹介します。
気になる疑問

最近、運転免許を取ったので、クルマを購入したいと思っています。できるだけ安いクルマがよいので軽自動車を検討していますが、万が一事故に遭った場合を考えると、安全性に不安があります。頑丈な車種はありますか?
専門家の回答

山城 利公(やましろ としまさ)
軽自動車は車体が小さいため不安に感じるかもしれませんが、近年は衝突被害軽減ブレーキやエアバッグなどの安全技術が進化し、安全性は大きく向上しています。衝突安全性能や予防安全性能で高評価を受けた車種を選べば、軽自動車でも安心して利用できます。頑丈さだけでなく、安全機能・装備の内容、日頃の運転・点検も含めて判断することが大切なポイントです。
軽自動車の安全性が低いといわれる理由は?
軽自動車は「事故に弱いのではないか」と不安に思う方もいるかもしれません。たしかに以前は、軽自動車は車体が軽いため、普通自動車同士の衝突事故よりも大きな衝撃を受けやすい傾向がありました。しかし、近年は軽自動車にも高度な安全技術が備わり、安全性能はより向上しています。
また、2025年度中(直近公表データ)の死亡事故件数の構成率(※1)を見ると、普通自動車が26.8%、軽自動車は23.0%と大きな差は見られません。このデータからは、軽自動車が事故において極端に不利であるとは一概にいい切れないことがうかがえます。

軽自動車の安全性を高める技術
昨今の軽自動車は、技術の進歩によって安全性が向上しています。具体的には、事故の予防、万が一事故が起こってしまった際の被害の軽減、そして事故発生後のサポートなどに関する技術が挙げられます。それぞれの技術について、以下で詳しく見ていきましょう。
予防安全技術
予防安全技術とは、事故が起きるのを未然に防ぐ技術のことです。予防安全技術の代表的な例として挙げられるのが「衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)」と「誤発進抑制機能」です。
衝突被害軽減ブレーキは、必要に応じて自動でブレーキをかけ、衝突時の被害を軽減する安全装置です。前方のクルマや歩行者を検知すると、まずドライバーに警告を行います。それでもブレーキ操作が行われず、衝突の危険が高まった場合には、自動的に制動(ブレーキ)がかかる仕組みになっています。
誤発進抑制機能は、アクセルペダルの踏み間違いによる急発進を検知し、衝突を防ぐ安全装置です。例えば、前方に障害物がある状態でアクセルペダルが強く踏み込まれたとき、クルマの加速を抑制するとともに、ドライバーに警告を行い、衝突の回避をサポートしてくれます。
これらの技術の他にも、走行中に車線からはみ出しそうになると、警告や軽い操作補助で進路を保つ「車線維持支援機能」や、信号待ちの際に前方のクルマの発進を知らせることで後方からの衝突を防ぐ「先行車発進お知らせ機能」などがあります。これらの機能の一部は標準装備化も進んでおり、ドライバーにとっては安心材料の1つといえます。ただし、予防安全技術はあくまでも事故を防ぐために運転をサポートする技術であり、過信しないことが大切です。機能に頼るのではなく、日頃から安全運転を意識しましょう。
衝突安全技術
衝突安全技術は、万が一衝突してしまったときに車内と車外の人それぞれの被害を軽減してくれる技術です。中でも代表的なエアバッグは、運転席・助手席の前方や側面などから展開して、車内の乗員を衝撃から守ってくれる役割があります。また、スバル車などで採用されている「歩行者保護エアバッグ」は、衝突時にフロントガラス下部付近から展開し、歩行者の頭部や頸部へのダメージを軽減してくれます。
衝突安全技術があるとはいえ、シートベルトの着用は必須です。エアバッグが守ってくれるからと安心せずに、シートベルトを正しく着用し、安全運転を心がけることが、自分や周囲の安全を守ることにつながります。
緊急通報システム
緊急通報システムとは、事故が発生した際に自動でオペレーターにつながる機能のことです。例えば、エアバッグが作動するほどの強い衝撃を検知した場合、DCM(Data Communication Module)と呼ばれる車載通信機が作動し、コールセンターへ自動で連絡します。事故で意識が朦朧(もうろう)として話せない状態でも位置情報が自動的に共有されるため、オペレーターが救急車の手配などをサポートしてくれます。また、手動でスイッチを操作すればオペレーターとつながり、警察や消防への連絡をサポートしてもらうことも可能です。事故発生時は誰もが焦ってしまいやすいため、ボタン操作1つで連絡がつながり、指示を仰げるのは、運転者にとって大きな安心材料になるでしょう。
緊急時に備えるには、事前に自動車メーカーごとのコネクテッドサービスに加入する必要がある他、通報スイッチの位置を確認しておくことも大切です。

軽自動車の安全性を高めるポイント
軽自動車の安全性を高めるポイントには、車体の軽さを考慮して速度や車間距離に注意すること、タイヤの摩耗をこまめにチェックすることなどが挙げられます。クルマに備わった安全機能に頼るだけでなく、ドライバー自身も以下のようなポイントを意識することが重要です。
速度と車間距離を特に意識する
軽自動車でも普通自動車でも安全運転を心がけることは基本ですが、軽自動車は車体が軽いため、特に慎重な運転が求められます。まずは、速度に注意しましょう。車体が軽いと急停止や急ハンドル時に挙動が不安定になりやすく、状況によっては横転につながるおそれもあります。特にカーブがきつい箇所や急な坂道ではスピードを抑え、急なハンドル操作を避けることを意識すると、安全に運転しやすくなります。
また、適度な車間距離を保つことも心がけましょう。軽自動車は車体が軽く風の影響を受けやすいため、強風時はハンドル操作が不安定になり、進路がずれてしまうこともあります。常に前後左右の車間距離を十分保って運転することを意識しましょう。特に高速道路や橋の上は風が強くなりやすいため、注意が必要です。
適切な車間距離を保つことは、自分の存在を周囲に示すことにもつながります。近くを走るクルマほど運転者に気付かれにくいため、適切な車間距離をとることで大型車の運転席からも目視で確認しやすくなり、注意を促せるでしょう。
定期的にメンテナンスを行う
軽自動車の安全性を保つためには、日常的なメンテナンスが欠かせません。日常的にメンテナンスを行っていれば異常に早く気付けるため、出先で起こるトラブルも防げるでしょう。
まず自分で行えるメンテナンスとしては、タイヤの確認が挙げられます。タイヤの空気圧は下がっていないか、摩耗していないかを確認しましょう。タイヤの空気圧は、月に一度を目安にエアゲージで測定しましょう。空気圧が低下していると、タイヤが過度にたわみ、ハンドル操作の反応が鈍くなる他、ブレーキ時の制動距離が長くなるおそれがあります。また、そのような状態で高速道路を走ると、タイヤが破裂(バースト)するおそれもあるので注意が必要です。空気圧が下がっていたら、ガソリンスタンドで入れるか、カーディーラーに依頼しましょう。
タイヤの摩耗限度は、トレッド面(タイヤと路面が接する面)の溝に設けられた「スリップサイン」が表れているかどうかで判断できます。軽自動車は重量に対してタイヤへの負担が大きく、摩耗が進みやすいので、こまめに点検しましょう。
この他にも、バッテリーの状態、ブレーキの利き具合などを確認する必要があります。ただ、これらを自分で行うのは難しいので、ディーラーや専門業者による定期点検をしっかり受けることをおすすめします。

安全性の高い軽自動車の選び方
軽自動車を選ぶ際、特に安全性の高さを重視する場合は、安全機能と車内空間を確認することをおすすめします。以下で、安全性の高いクルマの判断基準について詳しく見ていきましょう。
安全機能の有無
軽自動車において、安全機能が充実しているかどうかは重要なポイントです。例えばエアバッグなら、前面だけでなく側面からの衝撃も吸収してくれる「サイドエアバッグ」や「カーテンエアバッグ」が装備されているクルマがおすすめです。
また、軽自動車に特にうれしい機能として「横滑り防止機能」があります。横滑り防止機能とは、カーブ走行時や悪天候時にクルマの横滑りを抑え、走行の安定性をサポートする機能です。車体が比較的軽いため、強風や雨天時などにクルマの挙動が不安定になることがありますが、こうした機能が走行安定性の向上に役立ちます。なお、衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)も安全性を高めるうえで重要な装備のひとつです。
安全機能は法律で義務化されているものも多いため、最近のモデルは標準で装備されていますが、中古の軽自動車を購入する際にはよく確認しましょう。
後方のスペース
軽自動車の安全性を確保するために重要なのが、車内後方のスペースです。後方にある程度のスペースがあると、前面衝突時に衝撃エネルギーを車体後方へ分散しやすくなり、乗員への衝撃を和らげる効果が期待できます。また、後方から追突された場合も、車体後部に変形する余地があれば、衝撃エネルギーが吸収され、乗員に伝わる衝撃が緩和される効果が期待できます。
そのため、モデル選びでは後方スペースに余裕のあるモデルを選び、日常使用でもその空間を活かすように心がけると安心です。後部シートを必要以上に前に寄せない、荷物を積み過ぎないといった工夫をしてみましょう。

【一覧比較】安全性の評価が高い軽自動車おすすめ3選
ここからは、独立行政法人自動車事故対策機構が実施する「自動車アセスメント(JNCAP)」の評価結果から(※2)、安全性において高い評価を得ているクルマをご紹介します。それぞれに特徴があるため、クルマ選びの参考にしてみてください。
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車種 |
ダイハツ ムーヴキャンバス |
ホンダ N-BOX |
スズキ ジムニー |
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特徴 |
・衝突安全性能、予防安全性能のいずれも高評価 ・安全性と同時に高いデザイン性も兼ね備える |
・衝突安全性能、予防安全性能ともに最高評価獲得の実績あり ・ブレーキ制御や急アクセル抑制など、機能豊富 |
・特に衝突安全性能で高評価 ・メーカー独自の予防安全技術も充実 |
ダイハツ ムーヴキャンバス

ダイハツ ムーヴキャンバスは、独立行政法人自動車事故対策機構の評価で、衝突安全性能と予防安全性能のどちらにおいても高い評価を得ており、バランスがよいモデルです。具体的な機能としては、乗員を衝撃から保護する「SRSエアバッグ」、カーブ時などに発生する横滑りを抑え、クルマの安定性を保ってくれる「VSC」、走行中に急制動するとハザードランプが自動で高速点滅し、後続車に注意を促して追突リスクを軽減してくれる「エマージェンシーストップシグナル」などが挙げられます。軽やかなツートンカラーとシックなモノトーンの2タイプを展開しており、安全性だけでなくデザイン性も重視したいという方におすすめです。
ホンダ N-BOX

ホンダ N-BOXは、独立行政法人自動車事故対策機構の衝突安全性能の評価で、最高評価のファイブスターを獲得した実績があります。予防安全性能においても非常に高い評価を得ているため、総合的に安全性能が高いといえます。具体的な機能としては、停車中にペダルから足を離してもブレーキ力を保持してくれる「オートブレーキホールド機能」や「急アクセル抑制機能」の他、歩行者や障害物を検知する広範囲カメラを備えているのが特徴です。また、流行にとらわれないシンプルなデザインと、軽自動車としては上質感のある内外装も魅力です。
スズキ ジムニー

スズキ ジムニーは、独立行政法人自動車事故対策機構の評価では、衝突安全性能で特に高い評価を得ています。街中での安全運転をサポートする「標識認識機能」や、高速道路での重大な事故を防ぐ「車線逸脱抑制機能」「ふらつき警報機能」といった、スズキ独自の予防安全技術が充実しているのも特徴です。悪路や急な坂道にも対応できる高い走破性を備え、機能性を重視した無駄のないデザインは、アウトドアフィールドだけでなく街中でも独自の存在感を放つでしょう。
ここまで、軽自動車の安全性の高さや安全基準などをご紹介してきました。軽自動車の安全性は年々向上していますが、実際に乗ってみないと不安に感じる方もいるかもしれません。
三井のカーシェアーズでは、今回ご紹介した軽自動車を取り扱っています。実際に試乗してみることで、軽自動車の安全性や運転のしやすさを体感できるでしょう。また、さまざまな車種やモデルを試せるので、自分に合ったクルマを見つけたい方も、ぜひ三井のカーシェアーズをご利用ください。
記事内容は公開時のものです。変更になる場合があります。
※1出典:警察庁交通局交通企画課「交通事故統計月報(令和7年11月末)」
(最終確認:2026年3月25日)
※2出典:独立行政法人自動車事故対策機構「守る(評価結果検索)」
https://www.nasva.go.jp/mamoru/index.html
(最終確認:2026年3月25日)
監修者:山城 利公(やましろ としまさ)
さまざまなカテゴリーのクルマを独自のスタンスで試乗評価。交通インフラ、物流業界の構造、安全運転教育など社会課題にも精通、モビリティ社会の未来に貢献している。物流のプロとして200万km(地球50周以上)無事故走行の実績を持つ。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員










